2025年 11月 01日
板橋暁子「偏覇と四夷のはざま」 |
東洋史研究会の大会にオンライン参加.表記の板橋報告を聴講するため.いかなる「はざま」が潜んでいたのか,はよくわからなかったが,氏が掲げた正史の編目に注目した.例えば『魏書』の列伝構成.
巻105 前趙/後趙/大夏/前燕/前秦/後秦/後涼――〈五胡〉
巻106 東晋/成漢
巻107 桓玄/北燕/宋
巻108 南斉/梁
巻109 前涼/西秦/南涼
巻110 東夷各国(契丹などを含む)
巻111 西戎各国(高昌,蛮などを含む)蛮は南蛮か.
巻112 西域各国
巻113 北狄各国(宇文,段部を含む)
南蛮がないのは当然だが,西域は高昌を含まない.次は『北史』.
巻94 東夷各国
巻95 南蛮各国
巻96 西戎各国(羌,氐,吐谷渾など)
巻97 西域各国
巻98 北狄各国(柔然,高車など)
巻99 北狄各国(突厥,鉄勒)
東夷/南蛮/西戎/北狄という四夷の名称が伝名にあるわけではない.あくまでも私が便宜的に付したものである.そのなかで唯一,「西域」だけが伝名に用いられている.『三国志』巻30に引く『魏略』西戎伝が,氐・羌からはじめ,中央アジアすなわち西域に及んでいることは注視すべきだろう.ここでは,『魏書』や『北史』とは異なり,西戎諸国=西戎諸国+西域諸国だったのである.やがて西域は西戎から独立し,西に位置するが,西戎ではなくなったということか.中国の西域認識がこの間変質していったとみるべきだろう.
by s_sekio
| 2025-11-01 20:38
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