2023年 01月 27日
南征 |
諸葛亮の「南征」の対象となった勢力のうち,はっきりと非漢族すなわち西南夷であることがわかるのは高定だけである(『華陽国志』は高定元).それ以外は孟獲も含めて西南夷出身であることを実証できるわけではない.したがって「南征」を,漢族(蜀漢)vs非漢族(西南夷)という構図で捉えるのは如何なものか.隆中対の「南撫夷越」の「夷越」を西南夷と考える向きが多いが,夷越は嶺南の越族のことだし,西南夷という非漢族をターゲットにするような姿勢は最初から最後までなかった,または稀薄だったのではないか.諸葛亮の脳裏にあったのは西南夷という非漢族それ自体ではなく,非漢族である西南夷が多数を占める南中地域だったのではないか.南中の多くの郡は紀元前,前漢時代に設けられ,300年以上に及ぶ期間のなかで,漢族との交流が進み,またそもそも各種族が小規模だったこともあり,この方向が促進されたのではないだろうか.
by s_sekio
| 2023-01-27 14:44
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