2023年 01月 08日
田中俊明「魏の東方経略をめぐる問題点」補 |
田中氏が表記論文中で,毋丘倹紀功碑を「断片」としていることは先述したとおりで,この表現に田中氏の認識が現れていると判断したのだが,田中氏はまた「紀功碑断碑」とも表現している(いずれも7頁).「断碑」と言うからには,とにもかくにも碑形という原状を残しているという理解である.しかし碑の「断片」と言うと,碑(文)の一部であることは確かだが,碑形の原状をとどめてはいないという場合の表現ではないだろうか.細かいようだが,「断碑」と「断片」では,形状(現状)に対する理解が異なるのではないだろうか.これは,トゥルファン文書など紙媒体でも,「残文書」というのと「文書残片」というのが,決して同一ではないということにも関わるのであって,その定義をしっかりとしておく必要があるのではないか.「残」と「断」も同じ.ただ「断文書」とは言わないが,「文書断片」は違和感がない.もっとも「文書断片」が学術的にふさわしいかと言うと,なかなかむつかしいものがある.あるいは石刻を「残碑」とか「残片」と呼ぶのもふさわしくないのだろうか.石刻が「断」で,紙媒体が「残」という決まりがあるとも思えないのだが.
by s_sekio
| 2023-01-08 20:47
| その他

