2011年 07月 19日
11/07/15 |
締切当日,8月29,30両日に北京で開催される「東亞的簡牘與社會―東亞簡牘學探討”學術研討會」での報告「機能論からみた長沙呉簡」のペーパーを提出する.400字換算で約10枚.分担者として参加している角谷常子先生の木簡科研の中国巡業という軽い気持ちだったのだが,いかめしい名前の学術研討会になっており,少しばかりたじろぐ.今まで自分の南北科研・西南班での取り組みを,木簡科研や,連携研究者になっている平川南先生の文字科研で話す機会があったのだが,それを簡単にまとめたもの.簡牘の分類を行う際,例えば長沙呉簡だと,胡平生・李天虹両氏の『長江流域出土簡牘与研究』が代表例だが,大木簡―吏民田家莂,木牘―官文書,竹簡―簿籍・書信というように,形状(大きさや材質を含む)と性格に対応関係を措定するようなことが行われていた.しかし,木牘の簿籍もあるし,竹簡の官文書もある.その意味で,長沙呉簡に見られる対応関係は,厳密とは言いがたい.
一方,李均明・劉 軍両氏の『簡牘文書学』のように,内容と性格の双方を尊重した分類も行われて来た.書檄類・簿籍類・律令類・案録類・符券類・検楬類といった区分である.この6類区分が妥当であるか否かはともかく,これだと,全ての簡牘はいずれか1類に区分されることになる.しかしこのような区分方法に限界があることも,長沙呉簡が示しているように思う.この点では,胡・李両氏が,その簿籍をさらに細分化し,「繳納各種賦税的券書編聯而成的簿籍」という項を設けているのが優れていると思う.要するに符券類であり簿籍類である竹簡ということになる.
ただしそうであれば,大木簡=吏民田家莂もほぼ同じ位置づけになろう.形状が大区分には不適であることを示すことにもなる.またこのような複合的な機能を有する簡牘が多いのも,長沙呉簡の特徴と言えるのではないだろうか.戸品出銭簡も編綴されて簿籍になるのだが,一本一本は,単独で「白」文書として上達されたものだったと考えられるし,木牘の官文書のなかには,やはり莂すなわち符券としての機能を有するものが含まれているのである.
このような特徴はひとり長沙呉簡に限ったことではないのかもしれないが,長沙呉簡の特徴であることは間違いのないところである.
一方,李均明・劉 軍両氏の『簡牘文書学』のように,内容と性格の双方を尊重した分類も行われて来た.書檄類・簿籍類・律令類・案録類・符券類・検楬類といった区分である.この6類区分が妥当であるか否かはともかく,これだと,全ての簡牘はいずれか1類に区分されることになる.しかしこのような区分方法に限界があることも,長沙呉簡が示しているように思う.この点では,胡・李両氏が,その簿籍をさらに細分化し,「繳納各種賦税的券書編聯而成的簿籍」という項を設けているのが優れていると思う.要するに符券類であり簿籍類である竹簡ということになる.
ただしそうであれば,大木簡=吏民田家莂もほぼ同じ位置づけになろう.形状が大区分には不適であることを示すことにもなる.またこのような複合的な機能を有する簡牘が多いのも,長沙呉簡の特徴と言えるのではないだろうか.戸品出銭簡も編綴されて簿籍になるのだが,一本一本は,単独で「白」文書として上達されたものだったと考えられるし,木牘の官文書のなかには,やはり莂すなわち符券としての機能を有するものが含まれているのである.
このような特徴はひとり長沙呉簡に限ったことではないのかもしれないが,長沙呉簡の特徴であることは間違いのないところである.
by s_sekio
| 2011-07-19 14:16
| 日記